2015年9月号

September

2015年9月号

September

退職金をかしこく受け取るには?

2年後に退職予定です。先日、退職金(約1,800万円)の受け取り方が自分で選べることを知りました。どのような受け取り方が一番良いのでしょうか?また、受け取り後、住宅ローンの完済を考えています。

勤務先によって異なりますが、退職金の「受け取り方」は、基本3つあります。
1.一時金、2.年金、3.一時金+年金。
実は、受け取り方ひとつでその退職金にかかる税金が異なってきます。
※相談者の場合(勤続20年越)

1.退職金を一時金で受け取る場合

「退職所得」となり、退職所得控除が受けられます。
退職所得控除額(1,570万円)=800万円+70万円×(31-20年)
課税対象額(115万円)=(1,800万円-1,570万円)×1/2
退職金にかかる税金は優遇されており、税負担が軽く済むよう配慮されています。

2.退職金を年金で受け取る場合

「雑所得」となり、毎年、公的年金(老齢基礎年金や老齢厚生年金)や、他の雑所得と合算して総合課税されます。そのため他の所得が多ければたくさんの税金を支払う必要があります。多くの場合、退職金を一時金で受け取った方が税金は安くなると言えるでしょう。また、年間所得が増えることで、現役並み所得とされ、医療費の自己負担などが増えることもあります。

相談者の場合は、3.一時金+年金の併用で受け取るのがおすすめ。

考え方としては、一時金で1,570万円近くまで受け取り、残りを年金として受け取るのが効率的と言えます。受け取った退職金を住宅ローンの一括返済に充てることは、おすすめしません。返済が進んだ段階では、返済額のほとんどが元金であり、利息の負担が少なく、一括返済してもあまりメリットがないのが理由です。また、住宅ローンの残債には団体信用生命保険が無料でついています。万が一のことがあった場合、残債はその保険で全額完済されます。生命保険代わりとして、定年後も払い続けるのも一つの方法です。